不動産売却後の「固定資産税」年度未経過分は誰が支払う?「起算日」に注意して清算してください

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不動産には毎年「固定資産税」が課税され、その年の1月1日時点の所有者は不動産が所在する市区町村に納めなければなりません。

しかし、「年度の途中で不動産を売却した場合の「固定資産税」は、1月1日時点の所有者(売主)が全額支払わなければならないのですか?」この質問は、売主様からよくいただきます。

 

そこで今日は、「不動産売却後の「固定資産税」年度未経過分は誰が支払う?「起算日」に注意して清算してください」について書いてみたいと思います。

 

固定資産税の納税義務者は「毎年1月1日現在の不動産の所有者」です。

これは年度途中で売却したとしても、1月1日時点の所有者が変更されることはないので納税義務者が変更になることもありません。また、所有する不動産が市街化区域に在る場合は「都市計画税」の納税義務もあります。

1月1日時点の所有者とは登記事項証明者(登記謄本)に所有者として登録されている人です。

 

しかし、年度途中で不動産を売却して所有権が買主に移転しているのに、売主が未経過分、つまり所有権を失っている分も支払わなければならないのは不公平と考え、取引の実務では、異なる取り扱いがされています。

 

実務では売主と買主で「日割清算」しています

不動産を売却した場合でも固定資産税の納税義務者は1月1日現在の所有者です。つまり、売主が全額納税しなければなりません

しかし、不動産売買の実務では、「起算日」から引き渡し日の前日までを売主が、引き渡し日から年度末までを買主が負担する日割清算を行うのが一般的です。

ただし「起算日」は、関西地方では「4月1日」関東地方では「1月1日」のように自治体や地域によってよって異なり、清算額が変わってきますので注意が必要です。

 

例えば、固定資産税の年税額が100,000円で、引き渡し日を8月5日とし、起算日の違いで清算額を計算します(四捨五入)。

<起算日4月1日の場合>
1年間は、今年の4月1日~来年の3月31日までの365日

◆売主負担分/100,000円×126日÷365日=34,521円
◆買主負担分/100,000円×239日÷365日=65,479円

<起算日1月1日の場合>
1年間は、今年の1月1日~今年の12月31日までの365日

◆売主負担分/100,000円×216日÷365=59,178円
◆買主負担分/100,000円×149日÷365=40,822円

このように、起算日の違いで清算額が大きく変わってきます。

また、起算日が異なる地域の人同士、例えば関西と関東の人同士の契約では、「起算日」を確認しなかったことで上記の計算上の差額でトラブルになることがありますので、必ず「起算日」は確認してください。

 

固定資産税を清算する場合の注意点

固定資産税を日割清算する場合、注意しておきたい点が3点あります。

それは、

1.固定資産税等の清算は法律上の規定ではない
2.固定資産税等の清算金は譲渡対価になる
3.固定資産税等の清算金に消費税が課税される場合がある

です。

1.固定資産税等の清算は法律上の規定ではない

固定資産税の日割清算は法律上の規定ではありません

つまり、不動産の取引上の慣例で、固定資産税・都市計画税は清算するものとして契約を進めているということです。

不動産会社の売買契約書には約定として「公租公課等の分担」という条項で固定資産税等の清算についての記載があります。

 

ですから、不動産の売買では、固定資産税・都市計画税の清算金に関して契約書に記載されているか、清算の計算内容が間違っていないかを確認するだけで大丈夫です。

ただし、あくまでも慣例ですので、日割清算を行わなくても問題はありません。

 

2.固定資産税等の清算金は譲渡対価になる

固定資産税・都市計画税の清算金は「不動産所得」となり、確定申告時に「譲渡価額」として申告しなければなりません。

つまり、不動産の売却価格に固定資産税等の清算金を加えて譲渡価額を算出します。

同様に、不動産を売却したときの譲渡所得を計算する場合、取得費(不動産購入時にかかった費用)として、不動産を購入したときに支払った固定資産税等の清算金を含めることができます。

なお、日割清算するものとして、マンション売却時の「管理費・修繕積立金」がありますが、これらは「固定資産税・都市計画税」とは異なり、引き渡し日以降は買主が負担するものですので、譲渡価額に含める必要はありません

 

3.固定資産税等の清算金に消費税が課税される場合がある

固定資産税・都市計画税の清算金に消費税が課税される場合があります

「固定資産税とういう税金に、さらに消費税という税金が課税されるはおかしい?」と不思議に思う人もいらっしゃるでしょう。

不動産売買の際に、売主と買主の合意で固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が負担する場合、その清算金は自治体に直接納付する固定資産税そのものではありません。

つまり日割清算金は、あくまでも慣習で行われている当事者間の負担調整のために授受される金銭ですので、譲渡対価の一部になり課税の対象になるといういことです。

消費税が課税されるのは固定資産税・都市計画税の建物部分の同額だけで、さらに、その日割清算額になりますので、それほど高額にはならないでしょう。

 

では、消費税が課税されるケースは、

売主が個人の場合は非課税となりますが、不動産会社など売主が課税事業者になる場合は消費税の課税対象になります。

また、個人であっても、家賃収入を得ることを目的にしている投資用不動産を売却する場合は消費税の課税対象になります。

もちろん、土地は非課税で、当たり前のことですが固定資産税・都市計画税自体に対して消費税が課税されることはありません。

 

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