買付証明書の優先順位の決め方に明確なルールは無く不動産業者によって異なります!

買付証明書の優先順位の決め方に明確なルールは無く不動産業者によって異なります! ブログ一覧

不動産売買の実務では、売買契約締結前に購入希望者から「買付証明書」をいただいております。買付証明書には法的効力はないのですが、不動産取引の交渉は、買付証明書の提出から本格的に始まります。その意味では買付証明書は重要な書類といえます。

しかし、この買付証明書の提出時期や優先順位の決め方でトラブルになることがあります。それは、不動産業者によって買付証明書に対する考え方、特に優先順位の決め方が違うことが原因で、一番目に提出した人が購入できないこともあるからです。

そこで今日は「買付証明書の優先順位の決め方に明確なルールは無く不動産業者によって異なります!」について書いてみたいと思います。

今日のブログは、近い将来、マイホームや不動産の購入を予定されている人には、頭の片隅に留めておいて欲しい内容になると思います。

買付委証明書を一番に提出したのに購入できなかった理由

買付証明書を一番に提出したのに購入することができなかった人からのご相談内容をご紹介します。
相談者の質問内容を要約すると4つになります・・・・

・買付証明書の優先順位ってどうなってるんですか?
・一番目に提出した人が一番に交渉することができるのではないのですか?
・一番目に提出したのに購入ができなかったのは何故ですが?
・買付証明書の優先順位は、誰が、どのように決めているのですか?
という内容でした。

このお客様の商談は、売主様側にも買主様側にも、それぞれ担当する仲介業者がいる共同仲介の案件で、同じ物件に対して、同日に3組の購入希望者が買付証明書を提出していました。

同日に提出された買付証明書の内容

答えを先に言ってしまいますが、実は、買付証明書の優先順位の決め方には明確なルールがないのです!

それぞれの、買付証明書の内容は・・・・

◆一番目に提出した人の内容は
一番目に提出されたのは、この度の相談者なんですが、販売価格3,580万円に対して、100万円の価格交渉で、3,480万円にしていただけるのであれば購入させていただきたいという内容です。
資金計画は、物件価格の3,480万円のみの融資利用で、住宅ローンの事前審査は、別の物件で融資承認が出ています。
今回の物件で新たに審査を受ける予定で、購入の諸費用は自己資金を充当する、という内容です。

◆二番目に提出した人の内容は
一番目の人が買付証明書を提出した同日に、別の不動産業者を通して買付証明書を提出しています。
販売価格3,580万円に対して、そのままの3,580万円で購入します、という内容です。
資金計画は、売買代金も購入の諸費用も全てローンを借りる予定で、まだ一度も事前審査を受けたことがありません。

◆三番目に提出した人の内容は
この人も同日に、一番目、二番目の人とは違う別の不動産業者を通して買付証明書を提出しています。
販売価格3,580万円に対して、180万円の価格交渉で、34,00万円にしていただければ購入したい、それ以外の条件は売主様の希望に合わせます、という内容です。
資金計画は全額自己資金で購入する予定です。

内容だけで判断すると優先順位を付けがたい内容だと思います。

あなたが不動産業者なら、どの買付証明書を優先しますか?

あなたが売主様担当の不動産業者ならば、3つの買付証明書を見て、どの買主様を優先したいと考えますか?

最終的に、売主様は三番目の買主様と契約することにしたそうですが、一番目の人、今回の相談者は、どうしても納得がいかず、この度の商談には全く関わっていない第三者である未来家不動産に相談したくて、メールを送信したとのことです。

この相談者は、担当した不動産業者に「優先順位は、買付証明書を提出した順番ですので、早く提出してください」と言われたので、物件を見たその日に買付証明書を提出したそうです。

私が少し疑問に思ったのは、この不動産業者が言う優先順位は、何に対しての優先順位なのかがよく分からないんですが・・・・・

それはともかくも、残念なことに、一番目のこの相談者は物件を購入することはできませんでした。

買付証明書の優先順位の決め方は不動産業者で違う!

最初に答えを言ってしまいましたが、買付証明書の優先順位の決め方には明確なルールが存在しなくて、実は不動産業者によって決め方や、その判断の仕方が違うのです!

その考え方や判断の仕方は、大きく分けて次の3つになると思います。

◆一つ目は、
買付証明書の提出順で交渉の優先順位を決める

◆二つ目は、
売主様にとって有利な条件で購入してくれる人を優先する

◆三つ目は、
全ての買付証明書を売主様に見せて売主様の判断に委ねる

今回の相談者(一番目の人)が購入できなかったのは、この人を担当した不動産業者と、売主様担当の不動産業者の優先順位の決め方が異なっていたからです。

多分、売主様担当の不動産業者は、三つ目の考え方だったのではないでしょうか。というのも、売主様側の不動産業者が、最終的には売主様の判断で決めたという趣旨の報告を、買主様側の不動産業者にしていたからです。

ですから、一番目で買付証明書を提出しても、必ず購入できるというものではなかった、ということです。

買主様も仲介業者も事前の確認と準備が必要!

そこで、近い将来、マイホームや不動産の購入を予定されている人には頭の片隅に留めておいて欲しいのが「仲介業者も買主様も事前の確認と準備が必要」という内容です。

不動産業者によって優先順位の決め方が違うので、買付証明書をいただくときには、売主様担当の不動産業者の考え方を確認しなければならないのです。

これは、買主様担当の不動産業者が確認することになるんですが、この度の不動産業者はそれを怠っていたことになりますね。

もうひとつ大事なことは、住宅ローンを利用して購入する場合は、早めに事前審査を受けて融資承認を取っておくことをお勧めします。

売主様にとって全額自己資金で購入してくれる買主様であれば、融資利用の特約(住宅ローン特約)で契約が白紙解除になる心配が無いので、優先したいところです。

しかし、融資を利用する人に対して「全額自己資金で買ってください」とは、お願いできませんので、事前審査で融資承認が取れていれば、本申込みの融資審査で否認されて売買契約が白紙解除になる可能性がゼロに近づきます。

 

売主様にしてみれば、売買代金の受領は、全額自己資金でも融資利用でも現金で受けとることに代わりはないので、

住宅ローンを利用する資金計画であれば、早めに事前審査を受けていただくことが、買いたい物件を買い逃さないために必要な準備になる、ということです。

資金計画で売主様が優先順位を付けるとすれば

つまり、資金計画で売主様が優先順位を付けるとすれば

1 全額自己資金で購入してくれる人
2 住宅ローンを利用するのであれば、事前審査で融資承認が出ている人
3 住宅ローンを利用するが、一度も事前審査を受けていない人

になるでしょう。

1番目の人は、そんなに多くはいませんので、2番目と3番目の人が同日に買付証明書を提出したとすれば、売主様は2番目の人を優先することになるでしょうね。

買付証明書の趣旨からすれば、事前審査を受けていないということは論外です。

なぜなら、買付証明書は購入したいという意思表示をするものなので「事前審査を受けていない」ということは、「資金計画がまだ確定していない」ことになり、資金計画が確定していない、ということは「買えるかどうかも分からない」ということになります。

買えるかどうかも分からない買付証明書は、売主様に対して失礼な内容になるからです。

 

今日は、「買付証明書を一番目に提出したのに、購入することができなかった人からの質問と疑問」についてお話をしてきました。

いかがだったでしょうか? お役に立てそうですか?

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