マイホームの建築用地をご購入いただいたお客様からの質問です。
このお客様は、建物が建っている土地の固定資産税は安くなる、ということをご存知でしたので、住宅用地として購入した土地であれば、更地でも固定資産税は安くなるのでは、と思われての、ご質問でした。
今日は、「建築中の建物が1月1日時点で未完成の場合、土地の固定資産税軽減措置は受けられますか?」につて書いてみたいと思います。
ちなみに、固定資産税は、その年の1月1日時点に存在する固定の資産に対し課税され、その所有者が納税義務者になります。ですから、固定の資産がないと税の対象にはなりません。不動産では土地と建物が固定の資産にあたります。
住宅用地(土地)や新築の建物、認定長期優良住宅の建物などには、固定資産税の負担を軽減するための特例が設けられています。
具体的には、住宅1戸につき住宅用地の200㎡までの部分については、固定資産税評価額を6分の1にし、200㎡を超える部分については、固定資産税評価額を3分の1にして計算します。
住宅用地とは、1月1日時点で、マイホーム、セカンドハウス、住宅用の賃貸マンションなどの建物が現に存在する土地のことを言います。
そこで疑問になるのが、
昨年に住宅用地として土地を購入しましたが、建物は建築中で今年の1月1日時点では未完成の場合、住宅用地としての固定資産税の軽減措置は受けられるのでしょうか。ということです。
新築住宅と、その土地の固定資産税の軽減
新築の場合、いつから固定資産税がかかるのでしょうか。また、固定資産税の軽減の期間はどのような取り決めがあるのでしょうか。
以下の内容で、それぞれの条件での固定資産税を計算してみましょう。
●現在を令和4年(2022年)1月1日とします
●土地の固定資産税評価額:3,000万円
●建物の固定資産税評価額:1,500万円
●建物の完成予定:令和4年(2022年)4月
●建物の床面積(居住用・一般住宅):100㎡
●土地の面積:160㎡
更地の場合の固定資産税
更地の場合は建物がない状態ですので、固定資産税は土地だけに課税されます。
更地とは、建物がなく、すぐにでも建物を建てることのできる空き地のことです。
●更地の場合の固定資産税額:3,000万円 × 1.4% = 42万円
新築住宅が建った場合の「土地」の固定資産税
建物は令和4年(2022年)4月に完成予定ですので、令和4年1月1日時点では建物が完成していません。そうなると、令和4年度の土地に対する固定資産税の軽減措置を受けることはできません。
◆令和4年の土地の固定資産税は、上記の●更地の場合の固定資産税:42万円になります。
令和5年1月1日時点では建物は完成し存在するので、令和5年分からは住宅用地として固定資産税の軽減措置の対象となります。また、土地面積が160㎡なので、200㎡以下の小規模住宅用地に該当し、固定資産税課税標準額は6分の1になります。
◆令和5年の土地の固定資産税額:3,000万円 1/6× 1.4% = 7万円
新築住宅が完成した場合の「建物」の固定資産税
令和4年(2022年)1月1日時点では、建物は存在しないので、令和4年は建物の固定資産税はかかりません。
次に建物の完成予定は、令和4年(2022年)4月ですので、土地と同じく、建物の固定資産税は、令和5年から新築住宅の軽減措置の対象になります。
建物の面積が100㎡なので、一般住宅で120㎡までの部分については3年間、固定資産税額が2分の1の額になります。ここでの3年間は、令和5年・6年・7年です。
◆令和5年建物の固定資産税額:1,500万円×1/2×1.4%=10.5万円
※これは、令和6年(2024年)3月31日までに新築された場合の特例となります
1月2日に建物が完成しても土地の固定資産税は軽減されません!
このように固定資産税は、家が建った日ではなく、その年の1月1日現在で不動産が存在するかどうかで課税されるかどうか決まります。
つまり、たとえ1月2日に家が完成したとしても、その年は更地として固定資産税、つまり軽減措置を受けられない状態で払わなくてはなりません。
土地の固定資産税の軽減の恩恵を早く受けるためには、12月31日より前に建物を完成させることがベストということになります。
建替えの場合の要件を満たせば固定資産税の減税対象に
ただし、建替えにより一時的に住宅がない場合には、建替え前後の所有者が同じであれば住宅用地としての軽減措置を受けることができます。
令和3年(2021年)12月に建物を取り壊して、同じ場所に新築を計画、完成予定は上記と同じく令和4年(2022年)4月とします。
この場合、令和4年1月1日時点では建物が存在しないので、土地は、固定資産税の住宅用地としての軽減を受けることはできませんが、
以下の要件を満たすことができれば、1月1日に建物がなくても、住宅用地の軽減を受けることができるのです。
◆その年の前年1月1日において住宅用地であったこと
●住宅の新築が、取り壊し前の住宅の敷地と同一の敷地において行われること
●その年の前年1月1日の取り壊し前の住宅の所有者と新築所有者が同一であること
●その年の1月1日において、次のいずれかの状態であること
イ.住宅の新築工事に着手していること
ロ.住宅の新築について建築基準法の確認済証の交付を受けており、かつ、直ちに新築工事に着手するものであること
ハ.住宅の新築について、確認申請を提出しており、確認済証交付後直ちに新築工事に着手すること
このように、今ある建物を取り壊して、同じ場所に新築する場合は、固定資産税の軽減を受けることができます。ただし、この適用を受けるためには、所定の手続き(基本的には建築会社が行います)が必要になります。
固定資産税・都市計画税の減額措置の表です
市街化区域の場合は固定資産税のほか「都市計画税」も課税されますので覚えておいてください。
次の表は、固定資産税と都市計画税の軽減措置を表したものですので参考にしてください。
固定資産税・都市計画税の 減額措置 |
固 定 資 産 税 | 都 市 計 画 税 | |
税 率 | 1.4% | 0.3% | |
住 宅 (※1) |
戸建て住宅 | 3年間 固定資産税額(※3)の 1/2を減額 |
減額なし |
マンション等 (※2) |
5年間 固定資産税額(※3)の 1/2を減額 |
||
土 地 | 小規模住宅用地 (※4) |
評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
一般住宅用地 (※5) |
評価額×1/3 | 評価額×2/3 | |
(※1)令和6年3月31日まで新築の場合 (※2)3階建て以上の耐火・準耐火建築物 (※3)1戸あたり120㎡相当分までを限度 (※4)住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 (※5)小規模住宅用地以外の住宅用地(200㎡を超える部分) |
参考にしてください。
コメント