新築の一戸建て(建売住宅)を購入するときに行う手続きに「登記」があります。また、新築の購入か中古の購入かによって登記の種類や登記の流れ、登記費用に違いがあります。
不動産登記は、土地や建物の物理的現況や権利関係を示すもので、取得した不動産が自分のものであることを公的に認めてもらうために行う重要な手続きになります。
これを登記の「公示力」、登記の「対抗力」と言います。
そこで今日は、「新築一戸建て(建売住宅)の登記の種類と登記の流れ、登記費用と司法書士の報酬」について書いてみたいと思います。
新築一戸建て(建売分譲住宅)に必要な登記
新築一戸建て(建売住宅)を購入するときに必要な登記は次の通りです。
◆建物については「建物表題登記」と「所有権保存登記」
◆土地については「所有権移転登記」
◆住宅ローンを利用する場合は「抵当権設定登記」が必要になります。
不動産登記の種類と登記の流れ
初めて建物を建築したときは、どのような建物を建築したかの証しとして「建物表題登記」を行うことが法律で義務付けられています。
新築の場合は「初めての建物」に該当するのでこの「建物表題登記」が不可欠になります。
次に、その不動産が誰のものであるかを公的に示すために所有権に関する登記が必要になり「所有権保存登記」と「所有権移転登記」がこれに該当します。
「所有権保存登記」はその不動産の最初の所有者が誰かを示すもので、新築一戸建て(建売住宅)の購入では、建物表題登記の次に行う登記になります。
「所有権移転登記」は、既に登記されている不動産の所有権を別の人に移すときに行います。
新築一戸建て(建売住宅)の土地部分は「所有権移転登記」によって所有者を変更します。
また、住宅ローンを利用する場合は「抵当権設定登記」を行います。
これは、融資を受けた人が住宅ローンの支払いができなくなった場合に備えて、融資した金融機関に抵当権があることを明らかにするための登記です。
なお、住宅ローンの返済が終わったらこの抵当権の効力はなくなります。
新築一戸建て(建売分譲住宅)の登記費用
登記費用は「登録免許税」という税金と司法書士に依頼する場合の「報酬」になります。
登録免許税額は、課税標準×税率(軽減税率)で算出されます。
登記の種類 | 課税標準 | 税 率 | 軽減税率 |
建物表題登記 | 無 税 | ||
所有権保存登記(建物) | 固定資産税評価額 | 0.4% | 0.15% |
所有権移転登記(土地) | 固定資産税評価額 | 2.0% | 1.5% |
抵当権設定登記 | 借入額 | 0.4% | 0.1% |
※登記が義務付けられている「建物表題登記」には登録免許税は掛かりません
※「所有権保存登記」「所有権移転登記」の登録免許税の算出の課税標準は、各地方公共団体が決定する「固定資産税評価額」が使われます
新築一戸建てを購入するときに行う登記は、建物の「表題登記」「所有権保存登記」と土地の「所有権移転登記」です。
所有権移転登記の場合は固定資産税評価額が既に定まっていますが、建物は新築ですので固定資産税評価額がまだ決められていません。
その場合は、各地方公共団体が設定している「新築建物課税標準価格認定基準表」を使うことになります。
基準表では建物の構造別に1平方メートルあたりの単価を定めていますので、当てはまる単価に建物の延べ床面積を掛けて算出したものが「固定資産税評価額」の代わりに用いられます。
「抵当権設定登記」は住宅ローンの借入額で決まります。
ちなみに、登録免許税は、それぞれの登記手続きをするときに一度払うのみで、固定資産税、都市計画税のように不動産の所有期間中に払い続けるものではありません。
登記費用のうち司法書士の報酬
報酬は、土地家屋調査士や司法書士などの専門家へ登記手続きを依頼するときに支払う費用のことです。
報酬額は、各専門家が不動産の事情をもとに自由に設定することができるので、事前に登記費用の見積もりを依頼することをお勧めします。
ここでは登記別の報酬額の平均について説明します。
登記の種類 | 報酬額の平均 | 支払先 |
建物表題登記 | 81,676円 | 土地家屋調査士 |
所有権保存登記 | 31,299円 | 司法書士 |
所有権移転登記 | 64,090円 | 司法書士 |
抵当権設定登記 | 46,219円 | 司法書士 |
報酬額の平均については「土地家屋調査士報酬ガイド(日本土地家屋調査士連合会)」「司法書士の報酬と報酬アンケート(日本司法書士会連合会)近畿圏地区」を参考にしています。
所有権移転登記、抵当権設定登記は、土地、建物を1筆ずつ登記した場合のものです。
また、報酬に対して消費税が別に課税されることも覚えておいてください。
専門家は不動産会社や金融機関から紹介されますので自分で探す必要はありませんが、知り合いの専門家への依頼を希望する場合は、早めに不動産会社、金融機関に相談し承諾を取ることが必要になります。
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