水防法に基づく水害ハザードマップとは、
水防法第15条第3項の規定に基づいて市町村が提供する
「洪水ハザードマップ」「雨水出水(内水)ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」の3つの水害ハザードマップのことです。
宅地建物取引業法施行規則の一部改正により、この3つの水害ハザードマップに基づいて売買対象物件の水害リスク情報を重要事項として説明することが追加されています。
そこで今日は、「水防法に基づく水害ハザードマップの記載内容とは?「洪水・雨水出水(内水)・高潮」」について書いてみたいと思います。
水害ハザードマップとは、
河川の氾濫や堤防決壊といった水害時の被害を最小限にくい止めることを目的として、浸水が予想される区域や避難場所、避難経路などの各種情報を誰が見ても分かりやすいように、地図上に表したものです。
ハザードマップで、今が住んでいるところや勤務先や学校、そしてその周辺を見て、災害時に安全にまた速やかに避難できるよう、その内容をよく確認して覚えておく必要があるのです。
では、水防法に基づく3つの水害ハザードマップ
「洪水ハザードマップ」「雨水出水(内水)ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」に記載されている内容について書いていきます。
洪水ハザードマップ
洪水ハザードマップは、
大雨などが原因で河川が氾濫したり堤防が決壊してしまった場合、浸水する恐れのある範囲や浸水の深さを知ることができます。
では、大雨(雨量)の想定ですが、
今までは、降雨規模を「100年に1度程度」を想定した「計画規模降雨」とされていましたが、2015年7月以降、降雨規模を「1,000年に1度程度」を想定した「想定最大規模降雨」を基準としたマップに見直しが進んでいます。
そして、洪水ハザードマップを見るときは、どの河川を対象としたハザードマップかを確認してください。
これまで、自治体によっては、河川ごとに作成さられていたり、大きな河川のみで、小さな川を対象に作成されていないこともありましたが、
2021年2月に中小河川も浸水想定ハザードマップの作成対象として義務化する方針になりましたので、今後、小さな川のハザードマップも増えていくと思います。
今住んでいる地域や勤務先、学校の洪水ハザードマップを確認し、もし浸水の可能性がある地域になっている場合は、災害時の避難場所や避難経路などをしっかりと把握し、家族全員で共有しておくようにしてください。
雨水出水(内水)ハザードマップ
雨水出水(内水)ハザードマップの
「雨水出水」「内水(ないすい)」とは、大雨やゲリラ豪雨などが原因で下水道の雨水排水処理能力を超えてしまった場合に、河川等の公共の水域に雨水を放流することができなくなり、浸水することを言います。
雨水出水(内水)ハザードマップでは、雨水が排水できなくなってしまったときに、浸水の発生が想定される区域や避難所に関する情報を知ることができます。
また、災害時の避難や誘導ガイドとしての役目だけではなく、地下室への止水板、土嚢等の設置、住民の自助、適正な土地の利用を促すことも目的として作成されています。
「雨水出水(内水)ハザードマップ」と「洪水ハザードマップ」は、どちらも浸水リスクについて記載されていますが、その内容は異なります。
洪水ハザードマップの場合「河川からの氾濫によっておこる水害に対するマップ」であるのに対して、
雨水出水(内水)ハザードマップは「下水管などの雨水排水能力オーバーによりマンホールなどから水があふれることで発生する水害」のことを示しています。
高潮ハザードマップ
高潮ハザードマップの「高潮」とは、
台風や発達した低気圧により高波やうねりが発生し、海面の高さが通常よりも高くなる現象のことを言います。
特に、高潮が満潮の時間に重なると大きな被害が出る可能性があるため、高潮で浸水の恐れのある地域に住んでいる場合は、大雨や台風発生時には満潮の時刻も確認しておくことが大切です。
高潮は予想していた時刻よりも早く波が高くなり、突然浸水することがあるので、無理をして避難場所に移動すると危険が伴うケースがあります。
高潮の危険がある地域に住んでいる場合は、ハザードマップに記されている避難場所だけではなく、自宅から移動が可能な範囲の高台はどこなのか、どの方向に避難すれば良いかなども併せて確認しておくことが重要になります。
基本的に、高潮ハザードマップは海沿いの高潮の影響を受ける範囲を対象に公表されていることが多く、内陸側では作成されていないことがほとんどですが、
高潮は、川に沿って内陸に遡上することもあるので、平野部で海に面していない市区町村でも高潮ハザードマップが作成されていることがあります。
最後に一言!
洪水、雨水出水(内水)、高潮ハザードマップは、
「水害ハザードマップ」として、2021年8月から、不動産を取引する際の重要事項説明において説明が義務化されています。
ただし、3つの水害ハザードマップは自治体によって異なり、3つ全てが揃っている所もあれば、洪水ハザードマップだけ、或いは、洪水と雨水出水(内水)ハザードマップが一緒になっている自治体もあります。
ですから、重要事項説明書には、水防法に基づく各ハザードマップの有無が記載され、作成されているハザードマップで物件所在地の位置を示して、浸水のリスクや避難場所などについて説明することになります。
そのときは、3つの水害ハザードマップに記載されている内容を思い出して、疑問があれば説明をする宅地建物取引士に質問をしてみてください。
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