カーポートや車庫の面積が建ぺい率・容積率に与える影響 緩和措置と注意点

カーポートや車庫の面積が建ぺい率・容積率に与える影響 緩和措置と注意点 不動産売買の豆知識

カーポートは、屋根と柱だけで造られていて壁は有りません。一方、一般的な車庫やガレージは、屋根と三方に壁があり、出入り口が付いているのが特徴です。

建築基準法では、土地に定着していて屋根と柱、もしくは壁を有する建物を建築物と定められていますので、車庫やガレージはもちろん、屋根と柱だけのカーポートも建築物とみなされるわけです。

つまり、カーポートも車庫やガレージも、それぞれの面積が建ぺい率・容積率に影響を与えることになるのです。

 

そこで今日は、「カーポートや車庫の面積が建ぺい率・容積率に与える影響 緩和措置と注意点」について書いてみたいと思います。

 

自分名義の土地であったとしても、その土地に希望通りの建物を自由に建築できるかというと、そうではありません。

なぜなら、日本には13種類の用途地域というものがあって、その地域ごとに、どのような建物なら建築できるかや、そのルールの中で「建ぺい率」や「容積率」が定められています。

 

「建ぺい率」とは、
敷地面積に対する建築面積の割合、「容積率」は敷地面積に対する延べ床面積の割合になります。

ここでいう建築物には、住宅だけでなく「カーポートや車庫」も含まれるのです。

 

例えば、
建ぺい率/60%、容積率/200%の制限が設けられている用途地域に、200㎡の土地を所有しているとします。

建築できる敷地面積は、
200㎡(敷地面積)×60%(建ぺい率)=120㎡(約36坪)の広さが利用でき、

建築できる建物の延べ床面積は、
200㎡(敷地面積)×200%(容積率)=400㎡(約121坪)までの広さなら建築することができるわけです。

 

カーポートや車庫(ガレージ)に必要な面積

想定として普通車1台に必要なスペースを考えてみましょう。
幅は3m、奥行は6mが必要になりますので面積は18㎡(約5.5坪)になります。
2台分なら36㎡(約11坪)、3台分なら54㎡(約16坪)になるでしょう。

カーポートにしても車庫にしても、けっこうな広さの敷地が必要になります。

次は、カーポートと車庫を建てるときの「建ぺい率」と「容積率」についてみていきましょう。

 

建ぺい率・容積率に対する「緩和措置」

カーポートも車庫も、
その面積が「建ぺい率」や「容積率」に影響を与えますが、

「高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない」という「緩和措置」が設けられています。

もう少し簡単に言うと、
「カーポートの端から1mまでの部分の面積は建築面積に算入しない」ということです。

 

高い開放性を有する建築物の条件は以下の4つです。

1.柱の間隔が「2m以上」であること

2.天井の高さが「2.1m以上」であること

3.外壁のない部分が連続して「4m以上」あること

4.地階を除く階数が「1」であること

 

また、カーポートも車庫も
「敷地内における建築物の延床面積の5分の1を限度として延床面積に算入しない」という容積率の「緩和措置」も設けられています。

どちらの「緩和措置」も自治体によって内容が異なるようですので、詳しくは、建築予定地の自治体に確認をしてください。

 

緩和される床面積の上限

容積率の緩和では、車庫の床面積の上限を求める計算式は、
緩和される車庫の床面積の上限=(住宅の延べ床面積+車庫の床面積)×1/5

つまり、
敷地内建築物全ての延べ床面積の「5分の1」が緩和される面積の上限になるのです。

カーポートや車庫の床面積が、緩和される上限面積を超える場合は、超えている部分が容積率を計算するうえでの延床面積に含めなければならないのです。

 

例題で計算 緩和される車庫の床面積の上限

<例題①>

下記の条件で緩和される床面積の上限は、

◆敷地面積/150㎡

◆住宅の延床面積/110㎡

◆容積率の上限/100%

◆車庫の床面積/36㎡(普通車2台分)

(110㎡+36㎡)×1/5=29.2㎡(緩和面積上限)となります。

車庫の床面積が36㎡ですので、上限を超えた部分「36㎡ー29.2㎡=6.8㎡」が容積率の算出床面積に含まれますので、容積率を計算すると・・・・

(110㎡+6.8㎡)÷150㎡×100=77.86%(容積率)となり、容積率の上限100%内に収まっており、建築することができます。

 

<例題②>

◆敷地面積/150㎡

◆住宅の延床面積/110㎡

◆容積率の上限/80%

◆車庫の床面積/18㎡(普通車1台分)

 

上記の条件で緩和される床面積の上限は、

(110㎡+18㎡)×1/5=25.6㎡(緩和面積上限)となります。

車庫の床面積が18㎡ですので、

車庫の床面積すべてが容積率の算出床面積から除外されます。

容積率を計算すると・・・・

110㎡÷150㎡×100=73.3%

となりますので、容積率の上限80%内に収まっており、建築することができます。

 

最後に一言!

一定の要件を満たしたカーポートであれば、「緩和措置」によって、ほとんどの場合「建ぺい率」にあまり影響しないことが分かっていただけたかと思います。

 

また、三方以上に壁がある車庫でも「容積率」に対する「緩和措置」がありますので、「限られた広さの土地にできるだけ広い家を建てたい」という人は、設計士や住宅会社に相談しながら、希望の間取りと車庫を設計してもらってください。

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